災害時の迷子札装着について

By | 2017年3月11日 更新:
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ペットの防災用具の1つに迷子札を

東日本大震災から今日で6年が経過しました。多くの人やペット達も被災した大災害、ペット同伴の避難生活の厳しさや避難に同行できず飼主と離ればなれになってしまい長らく放浪を余儀なくされてしまうペット達の事も報じられました。

この震災をきっかけにペットに対する防災意識が強まった飼主さんも多いですよね。震災後は飼主の特定ができるマイクロチップや迷子札の重要性が高まり装着率も高くなったと言われていますが、みなさんはいかがでしょうか。

この迷子札について、震災の日を教訓に繰り返しにはなりますが、迷子札の装着率について震災当時を振り帰ってみたいと思います。

東日本大震災で死亡した犬の頭数については青森県では少なくとも31頭、岩手県で602頭、福島県では約2,500頭という報告があったそうです。仙台市では震災直後にペットの失踪届けが出されていたようですが、ほとんどのペットが行方不明のまま飼主の元に戻らないという現実がありました。

震災時に保護されたペット達の迷子札の装着率

環境省の調査で、青森県 ・岩手県 ・宮城県・仙台市 ・福島県 ・郡山市 ・いわき市 ・茨城県 ・栃木県 ・千葉県での統計によると、所有者不明として動物救護施設に収容された犬や猫の多くが、首輪の装着はしていたものの迷子札や鑑札などの装着がなく飼主を特定できないペットが全体の80%という数に登りました。迷子札や鑑札・狂犬病予防注射済票を装着していたペットは100%飼主が判明しましたが、首輪のみの装着で飼主が判明したのはわずか0.5%という結果でした。猫に至っては迷子札を装着していないケースが多かったため飼主の判明が極めて困難な状況である事が分かっています。

装着頭数 飼い主が判明した数
首輪のみ装着 614 3 (0.5%)
迷子タグ装着 4 4 (100%)
鑑札、狂犬病予防注射済み票どちらか装着 81 81 (100%)
装着頭数 飼い主が判明した数
首輪のみ装着 39 0 (0%)
迷子タグ装着 0 0 (0%)

※出典:環境省調査 東日本大震災におけるペットの被災概況(PDF

表で分かるように、多くのペット達が飼主が特定できる迷子札や鑑札などが未装着という事が分かります。マイクロチップの併用も有効ですが、マイクロチップの装着をしていたもののペットの登録がされていなかったため飼主が判明しなかった事例もありました。

保護されたものの飼主の特定が出来なかった犬や猫達は、新しい飼主への譲渡に向けた取組みもされるそうです。災害時に、救助隊に保護され命を繋いだペット達ですが飼主を特定できる物がなく本来の飼主の元に帰れないという事にならない為にも何らかの形で証明できる物を身につける必要がありますね。マイクロチップについては装着時に忘れずに登録機関へ登録する事と飼主自身の登録情報に変更がある場合は速やかに変更手続きが必要ですね。

環境省では2013年に発行している「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」でペットに対する防災対策の中で迷子にならないための対策例として、マイクロチップなどと合わせて迷子札や鑑札・狂犬病予防注射済票などで飼育している猫や犬の所有者明示をするよう呼びかけています。

私達飼主自身とペットの為の防災用具や避難経路などの確認と合わせて、万が一ペットと離ればなれになってしまった時のリスク回避の1つの手段として飼主を特定できる迷子札の装着について、見直すきっかけになっていただければと思います。6年目の震災の日を迎え過去の災害を思い出し、そして今後に活かす事ができるように対策をしたいものです。

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